鞘の腰の若狭塗が帯下にもチラリと覗く大小拵(標準作)

鞘の腰の若狭塗が帯下にもチラリと覗く大小拵(標準作)

大刀と脇差をそれぞれお預かりし武用の大小拵を製作させていただきました。 お客様のご希望により御刀の銘はどちらも伏せてご紹介をいたします。

大刀 銘非公開/二尺四寸六分

大刀 銘非公開/二尺四寸六分

昭和二十九年に福島県で登録の御刀です。銘非公開。刃渡り二尺四寸六分、反り七分。白鞘付き。

御刀に付いていたハバキには身幅・重ね方向の双方に大きなガタがあり、手直しをしても再発の可能性が高い状態でした。また台尻の角度も思わしくなく拵全体に悪影響を及ぼすことからハバキの新調もご依頼いただきました。茎には鍔ズレがあったためハバキの呑込を通常よりも少し深くして鍔や切羽がガタなく止まるよう逃しています。 鍔はご依頼者様持込のものを掛けました。

柄長はご依頼者様指定の27センチ白鮫を腹合せに着せて鶯色の正絹糸で諸捻巻にしています。模擬刀の柄に多い諸捻巻は柄巻の基本のようにお考えの方も大勢おられますが、実は非常に難易度の高い柄巻だといいます。 縁頭は銀色の鍔に合わせて銀仕上げの二重山路図。鶯色の柄巻から覗く梅の目貫は春の穏やかな陽気を感じさせます。

鞘は黒呂地に腰部分だけ若狭塗とし、境界を斜切下げ。 「帯刀したとき、帯の下からも若狭塗が見えるようにして欲しい」とご依頼をいただいたので若狭塗の範囲を通常よりも少し広くとっています。 栗形周りの刃方には鞘下地が破れにくくなるよう水牛の角を埋没して補強しています。 鞘尻には縁頭と揃い図柄の本肥後図鐺金具を付け補強。今後長くご愛用いただける堅牢な鞘に仕上がりました。

脇差 銘非公開/43センチ

脇差 銘非公開/43センチ

昭和51年に山梨県で登録の御刀です。銘非公開。刃渡り43センチ、反り1センチ。
拵付きの御刀ですが、大刀と揃えた拵に新調をしました。

鍔はご依頼者様持込のものです。大刀と同じ寸法のものですがお客様のご希望により掛けています。 茎に対して茎穴が大き過ぎたため責タガネでは足りず責金をしてガタなく止めました。

柄長はご依頼者様指定の16センチ。こちらは白鮫の親粒の付いたところを短冊に着せました。縁頭・目貫・柄巻は大刀と揃いのものです。

鞘も大刀と揃いの黒呂地腰若狭塗です。 境界は若狭塗を刃方から棟方へ長く切り下げるため刀部では斜切下げ(はすきりさげ)と呼んでご案内をしています。逆に棟方から刃方へ長く切り上げるのは斜切上げ(はすきりあげ)になります。

実は鞘塗は、大刀・脇差ともに黒呂地ではなく黒石目地でご依頼をいただいていましたが、誤って黒呂地で納品をしてしまいました。しかしこれはこれで良いとご寛容をいただくことができました。ご厚意に深謝いたします。

大刀 工作内容詳細

※表示する価格は受注当時のものです

価格
210,000円台
御刀
銘非公開、二尺四寸六分
ハバキ
銀地一重腰祐乗はばき(呑込深め)
切羽
型切羽 銀仕上げ
持込品
柄下地
製作(標準作)
柄長
27センチ
柄地
鮫皮 腹合着
柄巻
鶯色正絹糸 諸捻巻(標準作)
縁頭
K-045-MBR2 真鍮地 二重山路図
目貫
M-002-MBR3 真鍮地 梅図
鞘下地
製作(標準作)
鞘塗
黒呂地腰若狭塗斜切下げ
工作
刃方補強
栗形
位置通常
下緒
正絹糸竜甲組下緒 昼夜(黒・白)
鞘尻
C-045-MBR2 真鍮地 本肥後図

脇差 工作内容詳細

※表示する価格は受注当時のものです

価格
150,000円台
御刀
銘非公開、43センチ
ハバキ
現状のもの
切羽
型切羽 銀仕上げ
持込品、責金
柄下地
製作(標準作)
柄長
16センチ
柄地
鮫皮 短冊着(親粒付、白)
柄巻
鶯色正絹糸 諸捻巻(標準作)-
縁頭
K-045-MBR2 真鍮地 二重山路図
目貫
M-002-MBR3 真鍮地 梅図
鞘下地
製作(標準作)
鞘塗
黒呂地腰若狭塗斜切下げ
栗形
位置通常
下緒
正絹糸竜甲組下緒 昼夜(黒・白)
鞘尻
C-045-MBR2 真鍮地 本肥後図

お客様の声

本日大小拵が到着いたしました。
大小とも色合いや姿を含め大変美しい仕上がりで、非常に嬉しく思います。
振り心地も最高でした。

ただ一点、切返し塗の鐺側は黒石目塗(並)でお願いしておりましたが、黒呂塗となっておりました。
石目塗りとの切返しは難しかったのでしょうか。
(私としましては、高級感があり若狭塗りとも調和がとれていてこれはこれでよいと思っております。)

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