兼弘作74.5cm。差し込み研ぎ、柄巻直し、型鞘新調(居合作)
平成十六年に岐阜県で登録の御刀です。兼弘作。刃渡り74.5cm、反り1.8cm。拵付き。
日々居合の稽古で愛用されている御刀の修繕をご依頼いただきました。もともと柄巻直しと替鞘新調のご相談でしたが、御刀をお預かりしたところ深い錆が生じていたため研ぎ直しもあわせて承りました。
本刀の事例をご紹介するにあたって刀部一世一代のミス発生。差し込み研ぎで美しく生まれ変わった御刀の研ぎ前の状態を撮影し忘れてしまいました…。研ぎ前後の状態を皆さまにご覧いただきたかったのですが申し訳ありません…。
この人、錆手(さびて)やな
御刀をお預かりしてまず目についたのが、棟全体を中心として棒樋の内側と切先に発生していた深い錆。部分研ぎのご案内もしましたが小さな刃こぼれなども生じていたため全体的に研ぎ直すことになりました。
研師は本刀を一目見て「あー、この人、錆手(さびて)やな」とつぶやきます。意味を尋ねると、多汗なうえ汗に含まれる塩分量の多い体質の方をそう呼ぶそうで、錆手の方が所有する御刀は居合稽古などで手が触れやすい特定の箇所だけがひどく錆びる特徴があるそうです。
日々使用している愛刀だと伺っていたため、今後お手入れを重ねるごとに味わいが深くなることを願って差し込み研ぎを行いました。
ご依頼者様は全体的に研ぎ直すことで御刀が軽くなり過ぎることを心配されていましたが、裸身で研ぎ前572gから研ぎ後563gとなり、わずかに9gの重量減でおさまっています。
御刀をお預かりしている間に鍔にも赤錆が多く浮いてきたため手入れをしました。
柄巻直しをご依頼いただいた柄も、だいぶ劣化が進んでいる状態でした。手汗の塩分が白い斑点となって所々にういており、目貫にも緑青が発生していました。鮫皮は菱目の跡ができるだけ残らないよう手入れをしたのちに黒く仕上げ直しを行いました。目貫も緑青をできるだけ除いて巻直しています。
尋常程度の姿の御刀だったためうまく収まる型鞘がすぐに見つかりました。細かな傷が目立ちにくい石目塗鞘です。
もともと本刀には腰に鮫皮を着せて研ぎ出した青貝散塗の立派な本鞘が付いていました。しかし御刀の錆が鞘下地にもうつってしまっており研ぎ直してもこの鞘におさめるとまだすぐに錆がついてしまうだろうという研師の見立てをお伝えし、今後のご使用は控えていただくようお願いしました。
工作内容詳細
※表示する価格は受注当時のものです
- 価格
- 130,000円台
- 御刀
- 兼弘作74.5cm
- ハバキ
- 現状のもの
- 切羽
- 現状のもの
- 鍔
- 現状のもの
- 柄下地
- 現状のもの
- 柄長
- 8寸5分程度
- 柄地
- 黒に仕上げ直し
- 柄巻
- 巻直し、牛裏革・黒、諸捻巻(居合作)
- 縁頭
- 現状のもの
- 目貫
- 現状のもの、洗浄
- 鞘下地
- 型鞘
- 鞘塗
- 黒石目塗
- 栗形
- 通常
- 鞘尻
- 通常
お客様の声
刀部さんへ 商品が届きました。
早速拝見させて頂きました。
研ぎの出来も、鞘も型鞘とはいえ十分満足のいくもので
柄の見た目も上品に仕上がっており、
(中略)
とても素晴らしいです。満足の出来上がりです。
居合の練習のモチベーションが上がります。
(中略)
ありがとうございました。
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