銘未公開/刃渡り78.6センチ、拵一式製作(標準作)

銘未公開/刃渡り78.6センチ

昭和五二年に福岡県で登録の御刀です。諸事情により銘は未公開とさせていただきますが刃渡り78.6センチ、反り2.2センチの大身の古刀です。白鞘付き。
本刀とは別に古い半太刀拵を持込いただき、その金具をつかって拵一式を製作させていただきました。 もともと製作事例への掲載は不可と伺っていましたが柄前・鞘の単体だけならば良いと条件付きで許可をいただきました。

実用重視の拵のため使用感を大きく左右する柄前の製作内容は細かくご指示をいただき、何度もお打合せを重ねました。 通常の柄前は鞘の反りに合わせて柄頭が下がりますが、本刀は「できる限り直線的に」というご希望にしたがっておつくりしました。 粒立ちの良い鮫皮を腹合せに着せ、濃い暗朱に仕上げています。

柄巻は瑠璃紺色豚表革糸で片撮み巻です。諸事情あって当初の予定とは異なる職人に初めて依頼させていただきましたが、本当に良い仕事をしていただきました。 この柄巻の依頼を通じて店主も多くのことを学ばせていただきました。 鍵のかたちをした目貫は定石と異なり錠前に差し込む凸部を刃方に向けて配しています。これはご依頼者様のご指示によるもので縁起を担いでいます。

鞘には半太刀金具7点(栗形・柏葉・雨覆・芝引・責金2点・石突)が付きます。 刷毛目塗の技術を応用し斜目にすることで時雨を表現した時雨塗は本刀の大きな見どころのひとつです。さらに青貝の微塵粉を散らして時雨の風情を存分に表現しています。 実用の拵であるため鞘金具が帯に引っ掛かって外れてしまうことを防ぐため、金具の隙間はすべて透明な塗料で埋めています。

工作内容詳細

※表示する価格は受注当時のものです

価格
170,000円台
御刀
銘非公開 78.6センチ
ハバキ
御刀付属品
切羽
持込
持込のもの、責金
柄下地
製作(標準作)
柄長
8寸5分~8寸8分
柄地
ゆるい立鼓、柄頭を下げず直線的に
柄巻
鮫皮 腹合着(濃い赤茶仕上げ)
縁頭
持込(半太刀金具)
目貫
持込
鞘下地
製作(標準作)
鞘塗
青貝微塵黒時雨塗
金具
持込(半太刀金具)

お客様の声

塗りはとても美しく、良いですね。本漆でなくてもこれだけ美しければ、コストパフォーマンスは非常に優れていると思います。時雨のイメージに近く、とても気に入っています。斜めの線が表裏で同じ方向(鐺方向)なら、さらに良かったと思います。
瑠璃紺の柄だと、もう少し青貝を散らしてもよかったかもしれません。使い込んでいくと色が変わるので丁度いいかも知れませんが。巻きは上手でよかったです。
豚皮については少し振ってみましたが、やはり硬さは牛に近く、摩擦は鹿に近い様に思います。グリップはかなりのものですが手汗にどれくらい強いかですね。牛表皮だと汗でツルツル滑りますので。
鞘は金具の納まりがやや気になるところではありますが、現代ではそれなりの腕前の職人さんでしょうから、昔の鞘師がどれほどの技量かが伺えます。

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