銘非公開/70.4センチ、拵一式製作(鑑賞作)

銘非公開/70.4センチ、拵一式製作(鑑賞作)

平成23年に千葉県で登録の御刀です。刃渡り70.4センチ、反り2.6センチ。白鞘付き。
事情により銘は非公開とさせていただきますが、徳川を祟る妖刀として有名な三重を代表する名工の作とされる御刀です。 「掟通りではつまらないから少し遊び心の効いた拵」という方針での製作をご依頼をいただきました。

はばきは健全だったためそのまま拵を製作。金鍍金なので拵全体の差し色も金にすることにしました。 切羽は御刀合わせで銅地金着切羽を新調しました。鍔はお客様持込のものです。恐らく能の演目である高砂の場面を図取りしたものではないかと思います。 どちらかといえば小さめの鍔がお好みと伺っており、そのお好みに即した少々小型の鍔です。茎を傷めないよう茎穴の刃方と棟方の両方に責金をしました。

柄は定石より少し長めがお好みと伺い、7寸8分程度を基準として職人に姿良く製作をしていただきました。 縁頭は刀部の委託販売物からご指定をいただきました。赤銅地に時雨鑢目のもので頭金には金着座金のシトドメが付きます。 目貫もお客様持込のものです。能楽を踊る人物を象ったもので、恐らく三番叟図ではないかと思います。鍔の高砂も目貫の三番叟もおめでたい席では欠かせない重要な曲目で御刀に込める想いが伝わってきます。

柄巻は深緑色の正絹糸で諸摘巻です。諸事情があっていつもとは異なる職人に依頼をしましたが非常に良い仕事をしていただきました。 鮫皮は粒立ちの良い物を選定しました。経年の風合いを演出する時代色揚げに加えて艶出しの磨き上げ仕上げです。粒に光沢があり非常に上品な雰囲気になりました。

鞘塗は本漆塗です。 表面を研ぎ出す塗りがお好みではないということで黒石目塗にしました。石目塗は生類憐みの令で広く知られる5代将軍徳川綱吉の頃に京都の塗師によって考案された方法です。 ただの黒石目塗ではつまらないので、わずかに青貝の微塵粉を散らしてもらいました。よく目を凝らすと光の当たっていない部分が時折キラキラと輝きます。 これが青貝で緑色に輝くため柄糸も下緒も深緑色として統一感を出してみました。

工作内容詳細

※表示する価格は受注当時のものです

価格
460,000円台
御刀
銘非公開/70.4センチ
ハバキ
御刀付属品
切羽
銅地金着切羽
持込、責金
柄下地
製作(鑑賞作)
柄長
7寸8分程度
柄地
鮫皮 腹合着(時代色揚げ磨き仕上げ)
柄巻
深緑色正絹糸 諸摘巻(鑑賞作)
縁頭
赤銅時雨鑢目地無文縁頭
目貫
持込
鞘下地
製作(鑑賞作)
鞘塗
黒石目地青貝微塵散塗
栗形
上シトドメ 金仕上げ
鞘尻
通常
ツナギ
木はばき付き(鑑賞作)

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