楕円形の金床
新調した楕円形の金床

鍔のための金床

以前から知り合いの鉄工所にお願いをしていた楕円形の金床がついに届きました。
鍔の責金や責タガネを行うのに必須の道具で、5センチ角程度の小さなものですが有ると無いとでは作業の効率や品質が大幅に違ってくるんです。

鍔鳴りをなくすために

皆さんは振ると鍔がカチャカチャとやかましい音を立てる刀をご覧になったことはないでしょうか。 このように鍔が正しく固定されず遊んでしまっている状態を「鍔鳴り」といいます。

鍔鳴りのまま放置すると茎が摩耗してへこみが生じます。折損のリスクが高まるほか、茎の形状が不正になるためハバキや柄の新調が出来なくなる原因になり良いことはひとつもありません。
この鍔鳴りを防ぎ鍔を正しく固定する方法として、責金責タガネがあります。

責金とは鍔の茎穴の刃方と棟方に柔らかな銅を埋め込んで鍔を固定する方法で、茎を傷つける心配がないため御刀には最良です。
責タガネとは茎穴の周りの肉を叩いてかしめ、鍔をガタなく固定する方法をいいます。
責金は最良ですが手間や費用がかかることから、実用と割り切った日本刀(真剣)や居合刀(模擬刀)では責タガネを行うことが多くなります。

切羽台だけを支える

鍔の各部名称
鍔の各部名称

責金や責タガネを行うとき、鍔の下に敷いて使うのが今回入手した楕円形の金床です。

鍔の厚さは決して均一ではありません
平地に彫られた図柄が立体的に高く盛り上がったり、耳だけが厚くなるなどさまざまです。 そのような厚さが均一でない鍔を平らな金床においてタガネを打ってしまうと、もっとも出っ張った箇所に集中的に負荷がかかり、鍔に変形や破損などの不具合が発生してしまいます。

鍔の切羽台だけを支える
鍔の切羽台だけを支える

鍔を痛めることなく茎穴の周りだけを加工するには切羽台と呼ばれる部位だけを下から支える必要があります。 そこで楕円形の金床のうえに鍔の切羽台を乗せ、責金や責タガネなどの作業を行うわけです。

製造・販売対応いたします

新旧の楕円形金床
左2つが生鉄のもの、右が新調したもの

これまでは関市の職人さんから譲り受けた生鉄を楕円に切り出したものを使っていました。
しかし焼きが入っていないのでどこか不安だと漏らしたところ、きっちりと焼きを入れてもらうことができました。やはり持つべきものは友人ですね。

指定硬度「入るだけMAX」
指定硬度「入るだけMAX」

まったく需要がないとは思いますが、もしご入り用の方がおられましたらお問合せフォームよりご相談ください。 1個より製造・販売させていただきます(ご希望寸法で製造可能です)。