試作品、拝見
先日、とある企業様から「アクリル製の刀ケースを試作したので一度見てほしい」とご連絡をいただいたのでお伺いをしてきました。その企業様とは、刀部と同じ岐阜県内で主にガラス・樹脂製の様々な製品を取扱う株式会社アクティブハヤシ様です。
同社の歴史は古く、昭和からさらにひとつ年号を遡る大正の創業と伺っています。 もともとガラスを主に扱うガラス商でしたが時代の流れやニーズに柔軟に対応しながら大きな成長を遂げ、現在では塩ビやアクリルのような化成製品まで幅広い素材を取扱います。諸事情により詳細は伏せますが、とある美術館でも同社のガラス製品が使用されており高い技術力の裏付けであるといえそうです。
そんなケース製作のプロ集団が試作した刀ケースは2種類。寸法や構造などは同じですが、中に収めた刀を照らす照明の色が異なります。
刀ケース LED昼光色
1つはLED昼光色です。 白く鮮やかな光は、ともすれば刀の鋭利な刃先の印象に通じる冷たい怖さを感じる方がいるかも知れません。しかしそれは刀の持つさまざまな面・筋を照らして浮き立たせ明確に表現している効果だとも言えそうです。キリッと引き締まった厳かな雰囲気を演出する昼光色の光は多くの刀ファンを魅了しそうです。
刀ケース LED電球色
もう1つはLED電球色です。 ほんのりと黄色味を帯びた光は、昼光色から一転して穏やかな温かみを感じます。昼光色が刀は武器であることを強調するとすれば、電球色は刀が美術品であることを再認識させてくれます。静かに優しくそこに在るといった景色です。むかしから日本刀の鑑賞には白熱電球が良いとされてきました。その白熱電球とは光の成分が異なりますが、昼光色と比べると刃文が見えやすいように感じました。
日本刀を気軽に楽しめるケースをつくりたい
今回拝見した試作ケースのLED照明は、上面ではなく下面からあおるように照らされます。ケース下部の前方と後方にスリットが開いており、ここから収めた刀を照らす構造になっています。拝見時、ケースの上面に白い板を置いて下面からの光を反射するようにしたところさらに見栄えが良くなりました。
この試作ケースは実は初代ではなく、私の知る限りでは二代目のはずです。ただ初代と構造的に大きな違いはなく、初代をベースにLED照明の機構を追加したのが今回の二代目というところでしょうか。
その初代ケースには同社役員の私物の日本刀(真剣)が収められ2年間程度未手入れのまま放置されたそうです。そうして状態の変化を観察したところ、錆ひとつ生じなかったと伺っています。鉄の性質の違いによって錆の生じやすさには大きな個体差がありますので刀ケースの性能保証とまでは言い切れませんが、一定の信頼には足るエピソードではないでしょうか。
ケースに関するお問合せ
今回試作された刀ケースは大刀向けの寸法ですが、寸法違いのケースでもオーダーができるそうです。その他LEDを調光式にしたり希望の予算に応じたケースの提案などもいただけるようです。 この刀ケースについてご興味を持たれた方は、同社の製品ページを見てみてはいかがでしょうか。
コメントはこちら