特注居合刀とは
特注居合刀は、居合刀を構成するさまざまな項目をお好み通りに指定することができる製品です。 刃渡りや柄の長さはもちろんのこと、刀身への追加工作から金具の個別選択まで多種多様な工作の指定・組合せができるため、さまざまなお求めに 柔軟に対応いたします。 この柔軟性の高さによって、個人ごとに異なるそれぞれの体格・身体的特徴に合わせた機能的な居合刀 を入手いただけます。また豊富な組合せを利用して、観賞を目的とした高品質な模擬刀の実現も可能です。
居合刀と模擬刀の違い
居合刀とは、武道のひとつである 居合道に使用する刀剣のことを指します。入門当初は安全のため模擬刀を使用して稽古を重ね、一定の級位・段位から真剣も使用することになります。 ただしここでは、 居合道に用いる模擬刀を居合刀と表現しています。それに対して居合道に用いるわけではなく 観賞を主な目的とするものを単に模擬刀と表しています。
選べる全8種の刀身規格
大刀
標準刀身(鎬造)
広く普及する一般的な姿の刀身です。特徴がないことがこの刀身の特徴です。選択に迷ったらまずこの刀身で検討されることをおすすめします。
軽量刀身(鎬造)
標準刀身の姿をなるべく踏襲しつつ、重量の軽量化を標準的に図った刀身です。リバ剣士や女性の方、手や腕などにかかる負担を軽減したい方におすすめです。
厚口刀身(鎬造)
身幅厚く重ねの厚い重厚な刀身です。これにより刃渡りあたりの重量をもっとも重くすることが可能です。なるべく真剣の重量感に近づけたい方におすすめです。
大切先刀身(鎬造)
大切先を前提とした刀身です。切先まわりに工作を行うための余地がありますので、大切先に限らず切先の寸法をセンチ単位で指定いただけます(上限・下限あり)。
小刀
脇差刀身(鎬造)
刃渡り1尺5寸(約45.5cm)の定寸です。刀装具や鞘塗などを大刀と揃えた大小拵の実現が可能です。そのための大小揃いの金具もご用意しております。
短刀
短刀刀身(鯰尾造)
刃渡り9寸(約27.3cm)の定寸です。 切先がナマズの尾のように豊かにふくらむ鯰尾造を再現した短刀専用の刀身規格です。
短刀刀身(菖蒲造)
刃渡り9寸(約27.3cm)の定寸です。 刀身の3分の2ほどの棟方の肉を切先から落とす菖蒲造を再現した短刀専用の刀身規格です。
短刀刀身(おそらく造)
刃渡り9寸(約27.3cm)の定寸です。 刀身の半分以上が切先となるおそらく造を再現した短刀専用の刀身規格です。
可能性の広がる刀身単体製作
刀部では 模擬刀身のみの単体製作を承ります。刀身の単体製作では8種の刀身規格に加えて、真鍮製の板をご希望の姿に削り出す 真鍮刀身での製作にも対応し製作の自由度が無限に広がります。
博物館のように楽しむ
こだわり抜いた刀身を 博物館の展示物のように飾り、雰囲気を楽しむことができます。模擬刀身は真剣のように錆びることがないため手入れの負担がありません。
真剣のように造る
単体製作した模擬刀身に日本刀(真剣)と同じ方法で拵を製作すれば、 刀身の脱着が可能になります。この場合、刀身の反りや元幅など細かな指定も可能です。
愛刀を直す
折損してしまったり修復が難しいほど曲がってしまった刀身を入れ替えれば、使い慣れた愛着の居合刀を ふたたび稽古で使用することができます。
製作例
ソハヤノツルギウツスナリ写し
ソハヤノツルギウツスナリは 徳川家康の愛刀として有名な重要文化財です。鎌倉時代の刀工である 三池典太光世の作として伝わります。多くの見どころから特に特徴的な要素を抽出して再現製作した例です。
見どころ
- 刀身彫(棒樋に添樋を掻通し)
- 赤銅風の無地丸鍔
- 革巻、立鼓の天正柄
- 差表の笄櫃
- 差裏の小柄櫃
- 返角
- 黒呂塗鞘
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手持ちの鍔を使用して製作することは可能ですか。
可能です。 鍔に限らず、装剣金具はいずれも持込みいただくことができます(ハバキを除く)。ただしすべての金具を必ず使用できる保証はございません。持込みいただく金具の寸法や形状、劣化状態などを職人が確認したうえで最終的な可否判断をさせていただきます。
漠然とした希望はありますが、刀剣についてくわしくないため全項目を選択することができません。
まずは漠然としたご希望をお聞かせください。 お伺いしたご希望を基準にして製作内容のご提案をさせていただきます。このご提案を叩き台としてお打合せを重ね、最良の特注居合刀を一緒に完成させましょう。
新たに製作をするのではなく、手持ちの居合刀(模擬刀)に追加工作をお願いできますか。
承ります。 基本的にはすべてのご要望にお応えしたいと考えていますが、お手持ちの居合刀の種類や状態によっては承ることができない場合があるかも知れません。まずはお気軽にご相談ください。