“刀都” 岐阜県関市の職人によって作られる日本刀の拵
古来より日本国内ではさまざまな地で多くの名刀や名工が生まれました。それらの作風の特徴に応じて分類分けがなされ、江戸時代以降に体系づけられたものを五箇伝(ごかでん)といいます。五箇伝とは大和伝(奈良)、山城伝(京都)、備前伝(岡山)、相州伝(神奈川)、そして岐阜県関市の美濃伝です。
この美濃伝の大きな特徴としてまず挙げられるのが、三本杉と呼ばれる独特な刃文。そして「折れず、曲がらず、よく切れる」を実現する唯一の鍛刀法です。美しさと実用性を兼ね備えた美濃伝の刀は近隣の戦国武将のみならず、遠く薩摩(鹿児島)の島津氏にも愛用されたと伝わります。
また砂鉄が採取された長良川、良質な朴木が得られた恵那・木曽の山々など周辺環境にも恵まれ、数百年経った現在でも多くの職人が日本刀の生産に携わっています。
刀部では、先人の知恵と技術を継承してきた関市の職人たちによる日本刀の拵をお届けします。
用途に応じて選べる3種の製作方針
日本刀の拵製作は品質や費用について非常に大きな幅があります。せっかく製作をする拵ですから、用途に見合った適切な品質のものを適切な費用で入手したいところです。たとえば試斬用として常時実使用している御刀の拵を製作するのに、高価な骨董金具を用いたり高額な職人が仕事をすることは用途に適しているとは言えません。あるいは、価値ある御刀を入手したのに安価な拵では御刀が泣くというものです。
刀部では、用途に応じた3種の製作方針をご用意しています。ご相談時、ご希望に合った製作方針をお知らせいただくことで、お客様が考える用途やお求めの品質をかんたんに共有することができ、スムーズなお打合せやご提案が可能です。
居合作
居合演武や試斬などで実使用する日本刀に最適な製作方針です。
日々の稽古によって生じる損耗を前提としたうえで、扱いやすい機能性とできるだけ費用を抑えた経済性を両立します。
標準作
日本刀の外装として当然守るべき掟や作法に則った一般的な製作方針です。
価値ある御刀の拵や、品格ある拵をお求めの方のご期待にお応えすることができます。現代物の金具や現代塗料での鞘塗を組合せて費用を抑えることも可能です。
鑑賞作
展覧会などで数多くの受賞歴を持つ職人たちによる高品位な製作方針です。
使用する材料の品質からこだわり抜いた芸術性の高い拵をお求めの方に向けた最高峰の作です。
(完成まで非常に長期を要します)
その他、保管用として白鞘の製作も承ります。
居合作に適する工作3種
樋彫り
“樋(ひ)”とは、日本刀の刀身に彫られた溝のことを指します。
樋を彫ることのもっとも分かりやすい利点は、刀身の表面的な傷を除けること。そして御刀の軽量化でしょう。たとえば、自身の体格に適した刃渡りの日本刀を手に入れたものの実際に振ってみたら少々重かったという場合、樋を彫ることによって重量が軽減され扱いやすくなることがあります。
刀部では、樋のない御刀に新たに樋を彫ることはもちろん、すでに浅く彫られている樋をさらに深く彫り込む工作も承ります。
ただし、樋彫りの工作影響によって御刀の反りに変化が生じる可能性があります。また工作前までは内包されていた傷が表面化するなど、いくつかのリスクも存在します。
そのため基本的には、芸術的な価値が少なく実用専用だと割り切った日本刀向けの工作だといえます。
型鞘
日本刀の鞘は、御刀の反りや幅・厚さなどの姿に合わせて一点製作するのが通常です。それに対してある一定の規格寸法で単体製作された鞘を、刀部では型鞘と呼びます。
型鞘の反りは4分・6分・7分の3種をご用意。それぞれ刃渡りは2尺2寸から2尺4寸5分までに対応します。一点製作する鞘と比較してはるかに安価に入手することができるため、どうしても損耗してしまう居合刀の稽古用としておすすめです。
お手持ちの御刀に合わせて製作する鞘ではありませんので、御刀をお預かり後に適合するかどうかの確認・判断をいたします。またヒケ傷などが生じる可能性もありますので、芸術的な価値が少なく実用専用だと割り切った日本刀向けの選択だといえます。
現代物金具
現代物金具とは、主に鋳造によって製造される刀剣の外装のための金具です。
骨董品や現代金工師が製作した金具を元型にして鋳造で大量生産するため骨董品よりも安価に入手することが可能できます。
日本刀の拵を製作するにあたって、木製部分はどのようにも加工することができますが金具の寸法や形状を変化させることはできず、そのため理想的な拵の姿を実現するには適した金具の選定が欠かせません。
刀部ではさまざまなご希望に柔軟に対応できるよう、多種多様な現代物を豊富に取り揃えております。
分からないことは
職人におまかせ
形見の日本刀を立派な姿にして残したいと思いますが、くわしいことが分かりません。
一度御刀をお預かりし、詳細に確認したうえで最適と考える製作内容のご提案をさせていただきます。
ご提案にあたって、大きさや色など漠然としたご要望でもお伝えいただけましたら加味してお見積りいたします。
製作のおおまかな希望はありますが、それが妥当なのか不自然なのか判断がつきません。
おおまかなご希望を一度お聞かせください。
そのご希望と製作の対象となる御刀を照らし合わせて、妥当かどうか判断いたします。
また妥当でない場合、代替案をご提案させていただきます。
自分の希望で製作するためにどのくらい費用が掛かるか知りたいです。まずは見積りだけでも依頼できますか。
もちろん、お見積り依頼だけでも大歓迎いたします。
見積りの際、工作の組合せなどについてさらに良い方法がある場合は合わせてご提案も差し上げます。
ただし、承ることができる工作の内容や料金は事前の告知なく変更する場合がありますので、その点のみご了承ください。