北海道T様 模擬刀特注製作（結婚する友人に贈る嫁入り短刀）

嫁入り短刀（模擬刀）

「今度結婚することになった女性の友人にしっかりとしたお守り刀を持たせたい」と相談をいただきました。 鯰尾造の模擬刀身に黒呂塗の合口拵をご希望いただき、これを基本として嫁入り短刀として相応しいものとなるようできる限りの工夫をしました。

元来、嫁入り短刀には平造りで無反りの御刀が用いられます。しかしこのたびは鯰尾造のご希望をいただいたため、ご依頼者様のご要望を優先しました。 平造・無反りの模擬刀身製作は不可能ではありませんが皆様の想像以上に費用が掛かるうえ、はばきや拵下地などとの適合の問題も生じます。 嫁入り短刀の場合、実家に帰る＝離縁する ということがないよう返りのない焼き詰めの鋩子にします。また新しい生活に波風が立たないよう直刃の刃文が喜ばれます。 これらに加えて、このたびは二重刃文ではなく一重の直刃に仕上げました。重ね言葉が結婚式の忌み言葉とされる考え方を踏襲したものです。

意外かも知れませんが、当店では模擬短刀に適する型物の合口拵の拵下地はご用意がありません。そのためこのたびは真剣と同じように刀身合わせで拵下地をおつくりしました。 鞘口・柄口・柄頭に水牛の角が入り、目釘も水牛の角でできた角目釘です。

鞘は現代塗料の塗りのうえに本蒔絵で龍を描いています。本刀を贈るご友人は可愛らしい女性的なものより華美で強さを感じるものがお好みと伺い、お打合せを重ねた結果、雲に龍の図柄を金色平蒔絵で入れました。

本刀のお打合せの中で、ご依頼者様がご友人を想う強いお気持ちが非常に良く伝わってきました。本刀は模擬刀ですから刃がついておらず、ものは切れません。転じてご依頼者様とご友人のご縁が今後も切れることがないことをお祈りいたします。

製作内容詳細

※表示する価格は受注当時のものです

お客様の声

丁寧な心遣いとお祝いについて誠にありがとうございます。
新婦が第一子を身ごもり、体調がすぐれないということで実際に渡せるのは何時になるか分かりませんが、刀部様が尽くしていただいた心遣いについてはゆっくり語らせて頂こうと思います。
今回は誠にありがとうございました。
機会がありましたらまたよろしくお願い致します。