小学四年生、初めての柄巻をする

初めての柄巻

今年の6月頃に、姪から「夏休みの自由研究で柄巻をやってみたい」と相談を受けました。姪は関市内の学校に通う小学4年生でダンスが好きな活発な女の子です。普段から好奇心が旺盛だとは感じていましたが、まさか柄巻をしてみたいと言われるとは思いませんでした。以前に母親が柄巻の内職をしていた姿に影響されたのかも知れません。いずれにしてもこのように頼りにされたら叔父として全力で協力せざるを得ません。

柄下地に縁頭を嵌め込み鮫皮を短冊に着せ、すぐに柄巻ができる状態の柄下地一式を用意して姪に渡しました。目貫には100円均一のキーホルダーを利用したようです。縁頭が網代(竹の編み物)、目貫代わりのパンダのキーホルダー若竹色の木綿糸パンダ尽くしの柄前になる予定でした。

しかし柄巻を始めてみるとパンダのキーホルダーが大き過ぎることが分かったため、あらためて桜のキーホルダーに変更し柄巻は完成しました。とても初めての柄巻とは思えないほどの完成度で、母親の助力が非常に大きいことを感じさせます。ただ感想を聞くと「指が痛くなって大変だった」など実際にやった者にしか分からない苦労が言葉になっており、しっかりと体験し学んだことが良く伝わってきました。

夏休みの自由研究としては柄巻完成を以って完了なんですが、このままでは少々もったいないと思い工房に無理を言って拵一式にしてもらいました。刀身や塗鞘は居合刀用ではなく安価な観賞用の模造刀のものです。刃文は三本杉でもいいんですが、あまりにもありきたりでつまらないので関伝のもう一つの特徴である矢筈乱れにしてもらいました。塗鞘はパンダに因んで黒と白の片身替にしたかったんですが諸事情により断念しました。

もともとパンダ尽くしの柄前になると聞いており、目貫が桜に変わったとは知りませんでした。そのため、よりパンダ拵としてまとまりが良くなるようパンダの図柄の透鍔を用意していました。目貫がパンダでなくなってしまったのは残念ですが良い思い出として大切にしてもらえたら嬉しいですね。

パンダ鍔は予備を含めて複数枚製作をしました。掘出物コーナーで1枚のみの数量限定で販売をしていますのでもし気に入っていただけたらぜひお求めください。