無銘 70.7センチ、拵一式製作(標準作)
昭和五拾七年に東京都で登録の御刀です。無銘。刃渡り70.7センチ、反り1.1センチ。白鞘付き。
鎬地に新たに棒樋を彫り、お客様お手持ちの金具を一部使った標準作の拵を着せるご依頼をいただきました。
鞘の腰には鮫皮を着せて研ぎ出し美観と堅牢性が向上しています。
お預り当時、裸身で834gだった本刀に新たに棒樋を彫った結果739gとなり95gの重量減となりました。 差表の中ほどの鎬地にあった鍛え傷を隠すことができ、棒樋の内に新たな鍛え傷が表面することもありませんでした。反りにも大きな変化もなく良い工作結果となりました。
柄長は8寸2分ほど。実用の拵ということで片摘巻にしています。牛裏革糸の下糸を捻り上糸を摘むもので諸摘巻よりも緩みづらいといわれます。 鮫皮は黒漆掛けを模した黒仕上げ。少し汚しをつけて時代感を出してみました。 持込をいただいた縁頭は梅、目貫は松です。これに竹(笹)の鍔を掛けており松竹梅の作意でしょうか。
住居や生活用具がまだ整っていなかったむかし、冬の寒さは生命の危険に直結する恐ろしいものでした。そうした冬季にあっても松と竹は色褪せず梅は花をつけることから古代中国では歳寒三友と呼ばれて尊ばれ日本では慶事や吉祥の象徴として広く親しまれています。
鞘の腰には鮫皮を着せて研ぎ出しました。鮫皮の範囲が刃方から棟方へ向かって広がり下がるため刀部では斜切下げ(はすきりさげ)と呼ぶ工作方法です。 腰鮫着の場合、おおむね鯉口から栗形までの二倍寸法が鮫皮を着せる範囲になります。 鞘尻には松竹梅のうちの一つである竹を連想させる籠図の鐺金具を付け破損に備えます。
工作内容詳細
※表示する価格は受注当時のものです
- 価格
- 230,000円台
- 御刀
- 無銘 70.7センチ
- 刀身彫
- 新たに棒樋
- ハバキ
- 現状のもの
- 切羽
- 型切羽 金仕上げ
- 鍔
- T-055-MIR4 鉄地 竹透図鍔
- 柄下地
- 新作
- 柄長
- 8寸2分程度
- 柄地
- 鮫皮 短冊着(親粒付き、黒仕上げ)
- 柄巻
- 黒色牛裏革糸 片摘巻
- 縁頭
- 持込品
- 目貫
- 持込品
- 鞘下地
- 新作
- 鞘塗
- 黒呂塗腰鮫着研出(斜切下げ)
- 鯉口
- 水牛角
- 栗形
- 水牛角
- 鞘尻
- C-004-MBR2 真鍮地 籠図鐺金具
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