居合道が宣伝の道具に?
現在、「居合」という言葉を聞いたとき、居合刀に興味のある方ならほとんどの方が「居合道のことだろう」と考えるのではないかと思います。 居合道とは古武道の居合術をもとにした、刀を扱い方を通じて心身を鍛える現代武道のひとつです。 全日本剣道連盟は居合道について
としており、我が国の文化に触れながら人間形成を育むことのできる品行の高い学びではないかと思います。居合道は、日本刀の操法に由来するものであり、室町時代にその起源があるといわれます。勝負を抜刀の一瞬にかける居合道の修業は、死生一如、動静一貫をめざす心身鍛錬の道となっており、剣道と表裏一体の関係にあります。
しかし江戸時代にはその卓越した技を見せ物とし、商業的な宣伝の役割を担っていたようです。 一体どのような経緯で武術が見せ物になってしまったのでしょうか。
すばやく刃を抜くは歯を抜くに似たり
ものの本によると、【居合い抜き】の説明として「大道芸として見せ物にした居合い術」とあります。 越中富山の薬売りであった松井源左衛門(源水)という人物が、延宝(1673~)から天和(1681~)のころに江戸に出て、浅草で客集めに行ったのが始まりとされています。 享保(1726~)の初めころ、源左衛門は黒塗りの膳を高く積み上げてその上で長い刀を抜いて見せていたようです。 明治になってから、十六代源左衛門が歯磨き売りの宣伝に居合い抜きをやっていたようですが晩年には衰退したとあります。
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